3月9日(日)
最近NHKの「ちりとてちん」が高視聴率を稼いでるという事で、図書館で落語のCDを借りてきてしばしこれに没頭した。「つる」は単純でおもしろい。あらすじはこうだ。
散髪屋で物知りの男の噂を聞きつけ、問答に来たアホの男。「南京虫は脚気になるか」「トンボはめばちこ(物貰い)を患うか」などを聞くが、常識的なことを聞けとたしなめられる。 それではと、散髪屋にあった掛軸の絵の鶴について尋ねると、昔は「首長鳥」と呼んでいたと聞かされ、重ねてなぜその後「つる」と呼ぶようになったかを尋ねる。
そこで、鶴が唐土(もろこし)から飛んで来た際、「雄が『つー』っと」、「雌が『るー』っと」飛んで来たために「つる」という名前になったと教えられる。この男が実は嘘だと言うのも聞かず仕舞いに、今仕入れたばかりの知識を町内に披露しに行くアホの男。
訪れた先で、いざ披露。「つる」の由来について半ば強引に教えるも、「雄が『つるー』っと」と言ってしまったために困り果てる。 一旦物知りの男のもとへ戻り、再びレクチャーしてもらう。 今度は「雄が『つー』っと来て『る』と止まった」と言ってしまったため、苦し紛れに「雌が黙って飛んで来よった」
もう一つは「猫の忠信」。この噺はオチが弱いとよく言われる。確かにたわいのないオチだが、それまでの緊張感溢れる展開からすっと力を抜かれるようで、私は大好きだ。
アホらしい、わてみたいなお多福、なんの静御前に似合うかいな。
猫が顔上げて、にあう。
これがオチだが、「にゃーう」と「にあう」、ビミョーである。たぶん解らない人もいるかも知れない。
桂枝雀は「緊張の緩和」が笑いを生むとする独自の落語理論を唱えたので有名だ。
「すびばせんねえー(すみませんねー)」などの独特の口調でも人気を博したが、
11年前にうつ病で自殺するという信じられない幕切れに「何故?」と思ったファンも多かっただろう。59歳の若さで、本当に残念である。