晩飯は神戸の女の子たちと久しぶりに焼肉を食べに行った。
三宮でも屈指の繁盛店なのだ。安くて美味い。これが焼肉屋の基本である。
ビールのジョッキもキチっと洗浄されており、程よい泡立ちである。
焼肉とビールの取り合わせは最高だが、往々にして手抜きの店は油モノの焼肉の食器類とジョッキをいっしょに洗うということを平気でする。
そうすると油分がジョッキにも付いてしまいがちで、こういったジョッキは泡もちがせず、ジョッキの内部に荒い泡がついて不味いビールになってしまう。
焼肉屋に行かれて、今時そんなジョッキで生ビールを出す店だったら、お客様への気配りは二の次の素人だと判断して間違いないだろう。
この前、川西の駅の近くに生ビールの看板が出ている店に入った。中年夫婦がやっていて、店には太ったオバちゃんが出ている。生ビールと馬刺しを注文した。それから新聞をさがしてカウンターの前に置き、何ということもなく前を見るとオバちゃんは洗い場にあったビールの残っているジョッキを持ち上げて残りをザッと流しに捨て、水道の水で形ばかりほんの1秒こしゃっとすすいですぐにそこに生ビールを注いだのだ。
あのジョッキ誰のところに行くんやろか?とぼんやり見ているとなんとわがカウンターの前にドンと置かれたのであった。水もろくに切っていないびしょぬれのジョッキであるから泡などまったく無い。「うひゃー」と思った。またその時思ったのは、ビール会社は、ただもう生ビールとサーバーを注文に応じて売るだけじゃなくて、こういう田舎のオバちゃんに生ビールが生ビールとして美味く飲める最低の条件を、注ぎ方の実地指導つきで教えてあげる必要があるまいかという事だった。