
仕事で通天閣のある新世界には週に1~2回は来る。
ここは、今や多くの串カツ屋が軒を連ね、世界でも例を見ない串カツ王国となっている。大型観光バスがひっきりなしに出入りしては、大勢の観光客というか串カツを食べるのを目的とした客を、通天閣の近くの駐車場で降ろしている光景が目に入る。その中には中国人も多く見受けられる。半年前までは韓国人が多かったが、最近はほとんどが中国人なのである。また、JRの主要駅でも「新世界串カツツアー」なるパンフレットを置いていて、新世界の串カツに拍車をかけている状態である。
今から30年位前、私が学生だった頃、ジャンジャン横丁に3~4軒串カツ屋はあった。しかし今と違って、そこで串カツを食べてビールを飲んでいる人達は若いおねえちゃんやサラリーマンではなく、日雇い労働者の怖~いオッサン連中で、当時の私のような青臭い学生が簡単に入れるという雰囲気はそこにはなかった。
すぐ近くに西成区のあいりん地区があり、浮浪者が沢山ジャンジャン横丁に流れ込んできて、普通に歩いているだけでも恐怖と戦慄を感じたものだった。新世界界隈は無法地帯のようになっていて、真昼間からでも堂々と酒を飲んでそこいらじゅうに小便をする者がいるものだから、街はそここにアンモニア臭が漂っていた。
その串カツ屋も、8年位前には絶滅状態に陥っていた。最後まで残った串カツ「だるま」(昭和4年創業)も、先代が体調を崩して営業が困難になり後継者が居らず店を閉めようとしていた時、常連でもあり串カツをこよなく愛していた赤井英和が、自分の友達を口説き落として「だるま」の後継者とした。


その後、有名になった赤井がTVでこのお店と串カツの美味さを何度も紹介するようになり、「だるま」はメキメキ繁盛するようになり、閉店していた近江屋やその他の串カツ屋もそのブームを知り、息を吹き返し今現在の串カツブームに至るようになった。現在36店舗が串カツ屋として営業している。
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