キイロウミウシ
キリンの「一番搾り」(1990年発売)は、アサヒの「スーパードライ」の
独走を阻むべく開発されたビールだ。それまでのビールといえば、だいたいが
横文字ネーミング。日本人は日本一、世界一のように「一番」が大好きだ。
その心に気持ちよくヒットしたのか、「一番搾り」という純ジャパネスク
ネーミングがブームを呼んだ。
「一番搾り」とは、ビール工場の中のいわば専門用語である。ビールを
造るときには、素材を搾って麦汁を得るのだが、一番最初に搾ったのが
「一番搾り」、二番目が「二番搾り」。普通のビールはこの一番搾りと
二番搾りをブレンドして造られるのだが、「一番搾り」はまさに「一番搾り」
の麦汁だけで造られているのである。つまり、新鮮な素材に一番近い
ビールというわけだ。発泡酒よりビールは断然美味い。夏の暑さに耐え、
長い仕事が終わったあとに飲むビールの喉越しとその「旨さ」は格別だ。