グルクンのから揚げ
先日台風5号が、西日本を通過していった。戦後ある時期まで、台風には西洋人女性の名がついていた。キティとかジェーンとか、そんな名前を聞いた記憶がある。
それ以後も、とりわけ大きな被害をもたらした台風は、洞爺丸台風、伊勢湾台風などと特別に名前をつけて呼ばれる。
台風は今も大きな災害を引き起こす脅威であるのだが、その昔は、ラジオで進路予測を聞きながら、雨戸を板で打ちつけたり、停電に備えてローソクや懐中電灯を用意したり、地域こぞって非常態勢という雰囲気があった。子供だったせいか、遠足の前のような一種華やいだ気分もあった。屋根から落ちて大怪我する人もいたのに、不謹慎なことである。ごうごうという台風のもたらす大音響に眠れぬ夜を過ごし、といっても子供は気がついたら朝で、まぶしいほどの青空がひろがっている。「台風一過」である。
悩みや難問、あるいは騒動が、きれいに片付いて晴れやかな気分の喩えにも使う。