2月9日(土)、関西地区に珍しく雪が降り続き、10㎝ほど積もった。これを機に雪化粧した銀閣(慈照寺)を是非観賞したいということで、2月10日の3連休の中日に、2週間ぶりに再び京都を訪れる事にした。観光客の量は2月が1年中で最も少ないので、雑踏嫌いの私としては満を持しての決断だった。
私の家(大阪府豊能郡)にも、雪は容赦なく振り続け、あたりは見事に銀世界と化したのだった。
最寄の駅は能勢電鉄の「光風台」駅で、そこまで行くのには坂をどんどん降りて、向こうの町の人も同じで坂を降り切ったところに信号があり、つまりVの字の底が信号なのだが、雪が降るとこの信号で車が滑って何台も数珠繋ぎとなる事がある。駅はまだこの下で、谷底のようなところにある。
四条河原町から203番のバスに乗り、20分ほどで銀閣寺道で下車。白川通今出川の交差点をさらに東へ進むと、西田橋があり琵琶湖疏水の分流がある。
ここから若王子神社を結ぶ疎水沿いの散策路を「哲学の道」という。
大正時代に京都帝国大学の教授であり、哲学者だった西田幾多郎や河上肇らが思索に耽りながら歩いた事からこの名がついた。因みに、西田幾多郎の哲学の教え子は私の大学のゼミの教授である鈴木亨(故)先生だ。私はこの先生から「実存哲学」を学んでいる。
見事なソメイヨシノのトンネルが出来、春は関雪桜、夏はゲンジボタル、秋は紅葉が彩る。だが今は、足元は昨日の雪でぐじゅぐじゅ、桜の木からは雪のしずくが降ってきてはお洋服を濡らし、うっといしいことこのうえない。慈照寺までゆるい上り坂になっていて、参道にはみやげ物や喫茶店、食堂が軒を連ねるが、清水寺ほどの派手さはない。
慈照寺の総門に到着した。総門の規模は想像していたよりも小さいものだった。正式名は東山慈照寺(とうざんじしょうじ)と言う。
銀閣寺ではない。正式に言うと、東山慈照寺の銀閣である。ひがしやまではなくとうざんである。ここから南に2キロ行くと東山高校があるが、これもとうざんこうこうでひがしやまとは言わない。ここは高校野球で甲子園に何度も出ているのでご存知の方もいるだろうが、ユニフォームには「TOUZAN」と書かれている。
さて、雪を被った侘びさびの銀閣に会いに行こう。